単一細胞ゲノム情報解析コア (SignAC)

SignACの特徴

「ヒト」の成り立ちを理解するためには、ヒトの個体を構成する一つ一つの細胞の性質を理解することが必須です。そのためには、単一細胞レベルでの遺伝子発現量だけでなく、それら発現制御と深く関連する「エピゲノム状態」を調べる必要があります。SignACでは、ASHBiの単一細胞ゲノム情報解析コアとして、エピゲノム状態を含めた個々の細胞の特徴を網羅的に解析するシステムの構築を目指します。

エピゲノム状態とは、核内でゲノムの各部分の領域が示す化学的状態の総体を指します。ゲノムDNAは一様な状態で存在するわけではなく、各部分ごとに異なる状態を示します。例えば、特定のDNA配列を認識するタンパク質が結合すると、その周囲の化学的状態が変化し、近傍に位置する遺伝子発現の活性化や抑制化を引き起こします。これらエピゲノム状態のパターンは、細胞内に存在するタンパク質や代謝産物によって決定されます。また、エピゲノム状態は、遺伝子発現に対して影響を与えることによって、細胞の性質を規定します。つまり、エピゲノム状態は細胞の性質を左右する重要な要因の一つです。個々の細胞において、エピゲノム状態がどのように決まり、それが細胞の性質にどのように影響し、それら細胞がどのように「ヒト」という複雑なシステムを構成するのか?これらの問いを明らかにすることは、「ヒト生物学」を押し進める上での重要なステップです。

SignACでは、エピゲノム状態を個々の細胞で解析するための最先端の技術を提供することを目標にしています。具体的には、遺伝子の発現状態、ゲノムDNAへのタンパク質の結合状態、DNAやDNAが巻きつくヒストンというタンパク質の化学修飾状態、さらには互いに離れて位置するゲノムDNA同士の凝集・相互作用の状態、といった多層的なエピゲノム状態を解析します。重要なことに、これらの異なるレイヤーのエピゲノム状態は機能的に相互に影響を及ぼします。多層的なエピゲノム状態を定量的なデータとして示すことで、各レイヤーのエピゲノム状態の機能的な意味を捉え、そしてそれらがどのように細胞の性質の決定要因となるのかを解析できるようになると考えています。これら目的達成のため、ASHBi内外の最先端のエピゲノム網羅的計測技術を導入し、また自らも新しい技術開発を進めています。

ASHBiでは、平岡グループとの連携により、エピゲノムデータに高度な数学的解析を適用し、探索手法を開発するための体制が整えられています。ASHBi各研究グループが取り組む「ヒト生物学」の問題において、SingACは、それぞれのグループと平岡グループとの間で密な連携を図りながら、エピゲノム研究を支え、押し進める役割も担います。また、最先端の共通機器を拠点内の研究者が円滑に利用できるように、コアファシリティを維持・管理することも重要な業務の一つです。機器使用や解析についての技術指導等も定期的に実施し、ASHBiにおけるエピゲノム研究を促進します。以上の活動を通して、SignACは、ASHBiだけでなく京都大学の研究を多方面から支えるハブとなる役割を担うことを志向します。

サービス

SignACは、ASHBi拠点内研究者に対して以下のサービスを実施しています
・共通機器の維持・運用、使用方法の説明
・次世代シーケンサーの利用補助
・RNA-seqライブラリーの作成と解析

SignAC サービスについて詳しく見る

スタッフ

山本拓也(主任・准教授)
辻村太郎(コアマネジャー・特定講師)
樽本祥子
三枝愛