2024.10.16
広島大学大学院人間社会科学研究科の片岡雅知 寄付講座准教授、石田柊 寄附講座助教、小林知恵 寄附講座助教、および澤井努 特定教授 兼 寄付講座教授(京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点 連携研究者)は、法学者とともに、ヒト脳オルガノイド研究における細胞提供者のプライバシー保護の問題を検討しました。
この問題に取り組むためには、ヒト脳オルガノイド研究によって収集されるデータがどのようなプライバシーのリスクを伴うかを整理する必要があります。そこで本研究では、「神経プライバシー」という概念を、①思考や記憶に関するプライバシー(精神的プライバシー)と、②脳疾患に関する情報のプライバシーに分けて分析しました。
提供された細胞から作られる脳オルガノイドから、細胞提供者の思考や記憶を読み取ることはできません。したがって、ヒト脳オルガノイド研究において精神的プライバシーに関する懸念はありません。一方で、一部のヒト脳オルガノイド研究では、脳疾患に関連する重要な情報を扱うことがあります。したがって、ヒト脳オルガノイドを作ることが細胞提供者の心をコピーするという誤解を解くと同時に、適切な情報管理が求められます。
本研究成果は、2024年9月20日に学術誌「Trends in Biotechnology」でオンライン公開されました。
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Kataoka, M., Ishida, S., Kobayashi, C., Lee, T., & Sawai, T. (2024). Evaluating Neuroprivacy Concerns in Human Brain Organoid Research. Trends in Biotechnology. https://doi.org/10.1016/j.tibtech.2024.09.001