2024.8.22
広島大学大学院人間社会科学研究科の澤井努 特定教授 兼 寄付講座教授・京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点 連携研究者と片岡雅知 寄付講座准教授は、法学者とともにヒト脳オルガノイドの研究とその応用に関する法的問題を分類・整理し、その検討すべき問題を世界で初めて体系的に整理しました。さらには検討すべき問題に適切な優先順位を与えることで、差し迫った問題に取り組み、具体的な提案を行うことが可能になることを示しました。将来的に、ヒト脳オルガノイドの研究とその応用における法整備は、隣接分野との整合性、また国際的な規制との調和も考慮しながら進めていくことが求められます。
本研究成果は、2024年7月5日に学術誌「Journal of Bioethical Inquiry」でオンライン公開されました。
【本研究成果のポイント】
⚫ 近年、脳オルガノイド(幹細胞から体外で作られる立体的な脳組織)研究が急速に進展しており、様々な分野への応用が期待されています。
⚫ こうした中で、本論文では、ヒト脳オルガノイドの研究とその応用に関する法整備に向け、潜在的な法的問題を5つのテーマに分類し、多様な問題を検討するための優先順位を明らかにしました。5つのテーマには、「脳オルガノイドが意識を持つ可能性」、「脳オルガノイドの法的な地位」、「研究・応用における同意取得のあり方」、「脳オルガノイドの所有権」、「脳オルガノイドの移植に伴うリスク」が含まれます。
⚫ 今後は、動物実験やAIなど関連分野との整合性も考慮しつつ、ヒト脳オルガノイドの研究と応用に関する法的議論を重ねていく必要があります。
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Kataoka, M., Lee, T-L. & Sawai, T. (2024). Human Brain Organoid Research and Applications: Where and How to Meet Legal Challenges? Journal of Bioethical Inquiry. DOI: https://doi.org/10.1007/s11673-024-10349-9