連携研究者
哲学・倫理学と科学・医学・工学の接点で、国際的かつ学際的な生命倫理学研究を進めています。最近の研究関心は、先端科学技術が提起する生命倫理問題と、「経験的倫理学」(理論的な分析と経験的なデータを用いた分析を統合することによって規範的な結論を導く実践的な学問分野)の方法論です。前者に関しては、従来の生命倫理議論のメタ分析や哲学的考察のような理論研究に取り組んでいます。後者に関しては、様々な生命倫理問題に対して、哲学的に妥当であるだけでなく、社会の規範に照らしても受け入れられる答えを導くための新たな研究方法論を探究しています。先端科学技術がどの程度、倫理的に認められるのかを明らかにすることは、社会にとっても緊急性の高い課題です。こうした取組みを通して、研究や臨床応用を進めていく際の倫理的な枠組みの構築、また新たな社会の価値を創出します。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。2014年10月-2019年6月、京都大学iPS細胞研究所 上廣倫理研究部門 特定研究員、特定助教、2019年7月-2022年3月、京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 特定助教を経て、2022年4月より現職。2023年4月より広島大学 共創科学基盤センター 社会共創基盤ユニット ユニットリーダー、広島大学卓越大学院プログラム ゲノム編集先端人材育成プログラム プログラム担当教員、2023年9月よりシンガポール国立大学生命医療倫理センター 客員准教授も兼務。
Sasaki-Honda, M.*, Akatsuka, K., and Sawai, T.* 2023. Is Epigenome Editing Non-inheritable? Implications for Ethics and the Regulation of Human Applications. Stem Cell Reports.
Kataoka, M., Gyngell, C., Savulescu, J. Sawai, T.* 2023. The Ethics of Human Brain Organoid Transplantation in Animals. Neuroethics 16(3): 27.
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Sawai, T. 2017. Ethics of Human Induced Pluripotent Stem Cell Research [in Japanese]. Kyoto: Kyoto University Press.
第16回日本医学哲学・倫理学会 学会賞(2022)、第2回CiRA奨励賞(2020)、Outstanding Poster Award, CiRA Retreat 2016(2016)
2022年4月1日