研究者(伊佐G)
左右の大脳半球は、太い神経線維の束(脳梁)でつながっており、脳梁を介した運動・感覚情報の統合が左右手足の柔軟な動きを可能にします。特に、半球間の情報交換を円滑にするために、左右の大脳半球は脳梁を介して互いに抑制し合っており、これを大脳半球間抑制(IHI)と呼びます。IHIは半球間の円滑なやり取りを保証し左右四肢の独立した運動の生成に寄与すると考えられています。脳卒中や頭部外傷によって片側半球が損傷を受けると、半球間の興奮抑制バランスが乱れ、結果として四肢の協調運動が障害されます。2010年代以降の測定・解析技術の進歩に伴って、半球間の興奮抑制バランスが運動機能回復に重要であることが明らかにされつつあり、こうした背景から近年ではIHIを治療ターゲットとした新規治療開発の需要が高まっています。そこで私はASHBiにおいて、IHIの運動制御機構の解明と独自のIHI評価システムの開発、これらIHIの知見を臨床リハビリテーション評価に組み込むための技術基盤の確立の3つを主軸に、霊長類(サル)、齧歯類、ヒトで研究を進めています。
Kohei Matsuda, Kazuaki Nagasaka, Junpei Kato, Ichiro Takashima, Noriyuki Higo, Structural plasticity of motor cortices assessed by voxel-based morphometry and immunohistochemical analysis following internal capsular infarcts in macaque monkeys, Cerebral Cortex Communications, Volume 3, Issue 4, 2022, tgac046, https://doi.org/10.1093/texcom/tgac046
公益社団法人米沢有為会 表彰(2013年)
筑波大学 人間総合科学学術院長賞(2023年)
2024年7月1日