研究者 (村川G)
繰り返し配列は、ヒトゲノムの大部分を占め、その繰り返し回数のバリエーションは、ヒトゲノムに大きな多様性を生み出しています。しかしながら、この繰り返し配列の中でも特にサイズの大きな一群(一つの繰り返し単位が1000塩基以上で、マクロサテライトリピートとも呼ばれることもある)のバリエーションが、ヒト形質に与える影響については、ごく一部の例を除き、十分に理解されていません。そこで、私は大規模なヒト集団のゲノムとトランスクリプトームデータを活用し、この繰り返し配列が遺伝子発現に与える影響を網羅的に明らかにすることを試みています。また、国内外のバイオバンク(ヒト集団の臨床情報とゲノムデータが収載された大規模データセット)の解析と組み合わせることで、繰り返し配列とヒト形質の関連を見つけ出すことを考えています。この研究により、疾患の診断法の確立、病態機序の解明、治療法の開発によって、精密医療の実現に貢献したいと思います。
2016年 京都大学大学院医学研究科 博士後期課程修了(出向先:国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部)。2017年~横浜市立大学大学院医学研究科 環境分子医科学(遺伝学)研究員、2020年より同上 助教、2023年より京都大学 高等研究院 特定助教となり現在に至る。
日本人類遺伝学会 奨励賞(2022)
2023年4月1日