総説：ヒト生殖細胞の発生メカニズム

京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点 (WPI-ASHBi) 斎藤 通紀 拠点長/主任研究者（兼：同大学院医学研究科教授）、同大学院医学研究科 水田 賢 助教、マサチューセッツ工科大学 長野 眞大 博士研究員（兼：ASHBi連携研究者) が執筆した総説論文が「Nature Reviews Molecular Cell Biology」にて公開されました。ヒトの生殖細胞の発生メカニズムについて最新の知見がまとめられていますので、ぜひご一読ください。

概要
ヒトの生殖細胞は、遺伝や種の多様性の基盤であり、その異常は不妊症などの重篤な疾患につながります。近年、ゲノム科学と生殖細胞試験管内造成技術（in vitro gametogenesis, IVG）の進歩により、胚発生・胎児期におけるヒト生殖細胞の分化や、エピジェネティックなリプログラミングのメカニズムが明らかになってきました。本総説論文では、生体内と試験管内の研究から得られた知見を統合し、ヒト生殖細胞の発生過程を包括的に解説しています。ヒト生殖細胞発生メカニズムの理解が深まることで、ヒトIVG技術が確立され、不妊症などの生殖細胞に対する、画期的な予防・治療法開発の基盤となることが期待されます。

書誌情報

Saitou, M., Nagano, M., & Mizuta, K. (2025). Mechanisms of human germ cell development. Nature Reviews Molecular Cell Biology. https://doi.org/10.1038/s41580-025-00893-6