岩見 真吾

岩見 真吾

連携研究者

Position
名古屋大学大学院 理学研究科生命理学専攻 異分野融合生物学講座 教授
Research Field
数理科学、数理生物学

研究概要

生と死の生命動態定量研究

私達のグループでは、100%ドライラボである利点を生かして様々な研究テーマに取り組み、生命医科学の実験・臨床研究者との共同研究を積極的に進めている。そして、10年以上に渡る国内外50以上の研究チームとの密接な共同研究を通じて、数理モデルを用いた実験データあるいは臨床データの定量的解析をはじめ、遺伝子配列データの生物情報学的解析やシミュレーションによる網羅的理論予測、データ解析のための理論自体の構築など、独自に築き上げた国内外の研究ネットワークを駆使して、多面的に研究を展開している。これらの研究を通じて、塩基配列・遺伝子発現レベルから組織・個体レベルに至るまであらゆる階層のデータに適用できる定量的データ解析のノウハウを蓄積してきた。

私自身の研究人生における究極の目標は、生命の発生から死に至るまでの現象を定量的に理解すること、である。特に、病原体感染や遺伝子異常により誘導される恒常性の変容や破綻が引き起こす疾患とその制御・操作に興味を持っている。数理科学の汎用性を最大限に利用することで、私達の研究では一貫して(疾患を含む)様々な生命現象のエンジンになっている『増殖・分化・感染・変異・進化・適応する要素』が組み合わさって創発するシステムの定量的分析(生命動態定量)を行ってきた。そして、生命現象に共通して内在する問題を解決するために、ユニークで汎用性の高いアプローチを開発し、個別の生命現象に対する理解を深めてきた。生命の始まりから終わりを数値化することはチャレンジングではあるが大変刺激的でもある。数理モデル型の定量的データ解析アプローチを駆使した私達の研究が、現在の生命医科学分野でどこまで通じるのか?、また、分子生物学的手法の登場により一見すると成熟したように感じられている本分野をどのように変えられるのか?、に興味がある。

実データには、生命現象の全貌を明らかにするためのログが含まれている、と考えている。私達の異分野融合研究では、タッグを組む研究チームに入り込み、研究デザインの段階からコミットすることで、解析に必要なデータを取得する。このようにして取得された実験・臨床データからは、生命現象を支配する非線形システムを抽出することが可能になる。さらに、非線形システムの定量的理解により、これまで予測や制御が不可能だと思われていた生命現象を操作可能にする新たな知見を得ることが期待できる。

ともに研究を進めていく研究室のメンバーや共同研究者と一緒に数理科学が持つ汎用性を最大限に利用し、私達の研究の“心臓”となる「数理科学理論の開発と計算機科学技術の開発」という武器をもって、生命医科学分野に極限まで切り込むことで、新時代の生命医科学研究のコンセプトを創造し、そして、数理科学が様々な分野で主役となり台頭する時代を築いていく。

 
岩見博士 図1

略歴

2005年03月 大阪府立大学工学部数理工学科卒業
2007年03月 大阪府立大学大学院工学研究科電子 数物系専攻博士前期課程修了
2009年03月 静岡大学創造科学技術大学院自然科学系教育部環境 エネルギーシステム専攻博士後期課程(短縮)修了
2009年03月 博士(理学)(静岡大学)取得
2007年4月~2009年3月 日本学術振興会特別研究員DC1
2009年4月~2009年9月 日本学術振興会特別研究員PD(DC1採用後、PDに変更)
2009年10月~2011年11月 科学技術振興機構「生命現象の革新モデルと展開」さきがけ研究者・専任
2011年11月~現在 九州大学大学院理学研究院生物科学部門・准教授
(2011年11月~2013年3月:「生命現象の革新モデルと展開」さきがけ研究者を兼任)
(2014年10月~2018年3月:「生体における動的恒常性維持・変容機構の解明と制御」さきがけ研究者を兼任)
2015年10月~2016年03月 INSERM, U941, Paris, France, Visiting Professor
2020年4月~現在 公益財団法人がん研究会 ネクストがん研プロジェクト・客員研究員
2020年4月~現在 京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 (ASHBi)・連携研究者

論文

S. Iwanami, K. Kitagawa, H. Ohashi, Y. Asai, K. Shionoya, W. Saso, K. Nishioka, H. Inaba, S. Nakaoka, T. Wakita, O. Diekmann, S. Iwami*†, and K. Watashi*†. Stay or leave? : a quantitative dynamics study of how hepatitis C virus deals with this dilemma, PLoS Biol, accepted (2020).

M. Iwamoto, W. Saso, R. Sugiyama, K. Ishii, M. Ohki, S. Nagamori, R. Suzuki, H. Aizaki, A. Ryo, J-H Yun, S-Y Park, N. Ohtani, M. Muramatsu, S. Iwami, Y. Tanaka, C. Sureau, T. Wakita and K. Watashi. Epidermal growth factor receptor is a host entry cofactor triggering hepatitis B virus internalization, Proc Natl Acad Sci USA, 116:8487-8492 (2019).

K. Kitagawa, T. Kuniya, S. Nakaoka, Y. Asai, K. Watashi and S. Iwami* Mathematical analysis of a transformed ODE from a PDE multiscale model of hepatitis C virus infection, Bulletin of Mathematical Biology, 81:1427-1441 (2019).

E. Yamada, S. Nakaoka, L. Klein, E. Reith, S. Langer, K. Hopfensperger, S. Iwami, G. Schreiber, F. Kirchhoff, Y. Koyanagi, D. Sauter and K. Sato. Human-specific adaptations in Vpu conferring anti-tetherin activity are critical for efficient early HIV-1 replication in vivo, Cell Host & Microbe, 23:110-120 (2018).

M. Mahgoub, J. Yasunaga, S. Iwami, S. Nakaoka, Y. Koizumi, K. Shimura, and M. Matsuoka. Sporadic on/off switching of HTLV-1 Tax expression is crucial to maintain the whole population of virus-induced leukemic cells, Proc Natl Acad Sci USA, 115(6):E1269-E1278 (2018).

H. Ohashi, Y. Koizumi, K. Fukano, T. Wakita, AS. Perelson, S. Iwami*†, and K. Watashi*†. Reply to Padmanabhan and Dixit: Hepatitis C virus entry inhibitors for optimally boosting direct-acting antiviral-based treatments, Proc Natl Acad Sci USA, 114:E4527-E4529 (2017).

Y. Koizumi, H. Ohashi, S. Nakajima, Y. Tanaka, T. Wakita, AS. Perelson, S. Iwami*†, and K. Watashi*†. Quantifying antiviral activity optimizes drug combinations against hepatitis C virus infection, Proc Natl Acad Sci USA, 114:1922-1927 (2017).

K. Fujiu†, M. Shibata†, Y. Nakayama, F. Ogata, S. Matsumoto, K. Noshita, S. Iwami, S. Nakae, I. Komuro, R. Nagai, and I. Manabe. A heart-brain-kidney network controls adaptation to cardiac stress through tissue macrophage activation, Nature Medicine, 23:611-622 (2017).

A. Martyushev, S. Nakanoka, K. Sato, T. Noda†, and S. Iwami*†. Modelling Ebola virus dynamics: Implications for therapy, Antiviral Research, 135:62-73 (2016).

S. Iwami*†, JS Takeuchi†, S Nakaoka, F Mammano, F Clavel, H Inaba, T Kobayashi, N Misawa, K Aihara, Y Koyanagi, K Sato*. Cell-to-cell infection by HIV contributes over half of virus infection, Elife, 4, (2015).

†Equal contribution, *Corresponding author(s)

受賞歴

日本数理生物学会:平成22年研究奨励賞、日本応用数理学会:平成22年度論文賞(理論部門)

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