趙 蘭英

趙 蘭英

研究者 (小川G)

Position
特定助教
Research Field
腫瘍生物学

研究概要

単一細胞RNA / DNAシーケンス解析によるMPNクローンの不均一性と進化の解明

JAK2変異は骨髄増殖性腫瘍(MPN)の特徴であるが、骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)など他の骨髄性腫瘍にも見られる。 JAK2変異陽性MPN症例はしばしばAML発症をきたすが、約半分症例にはAML細胞にJAK2変異を認めない。 この事実は、MPN症例のAMLへの急性転化の際のクローン選択およびクローン進化において、複雑なメカニズムが働いていることを示唆する。本研究では、JAK2変異陰性細胞がクローン進化を経てAMLへ急性転化をきたす際に、JAK2陽性細胞がどのような役割を果たすのかについて解明することを目的とする。

骨髄増殖性腫瘍(MPN)はクローン性の骨髄過形成を特徴とする造血幹細胞に由来する疾患である。80%以上の症例でJAK2, CALR, MPLのうちいずれかの遺伝子異常を持つが、JAK2のV617F変異がもっとも多い。JAK2変異陽性のMPN症例の一部は急性骨髄性白血病(AML)へ転化するが、その際に約半数の症例でもとのMPN細胞が有していたJAK2変異が転化したAML細胞に見られない。その機序として、MPN細胞が一旦獲得した変異を 転化の際に喪失するか、JAK2変異陽性細胞が陰性細胞へnon-cell autonomousな作用を及ぼし陰性細胞の転化を誘導することが想定される。このような問題を解決するために、我々は単細胞レベルで変異と遺伝子発現の両方のデータを同時に得る手法を開発した。まず、我々は転化を生じたMPN症例の転化前のJAK2陽性細胞と転化後のAML細胞の変異profileをしらべる。これによって転化にともなうクローン構成の変化が記述でき、転化細胞の由来がMPN細胞と同一であるか否かを確認することが出来る。さらに、MPN期におけるJAK2陰性細胞の発現profileがJAK2陽性細胞の存在によってどのように影響を受けているかを調べる。さらにトランスウエル培養を行うことでJAK2陽性細胞が周囲のJAK2陰性細胞に対して及ぼす影響が、細胞間の直接のシグナル伝達によるものか、液性因子によるものかを調べる。液性因子が想定される場合、JAK2陽性細胞培養液の蛋白の構成をTOF-MSもしくはprotein arrayを用いて確認し、特徴的に変化をしている因子の抽出を行う。候補となる液性因子は正常な造血幹細胞に作用させることで、発現profileの変化が再現されるかを確認する。これらの実験を通じて、MPNが変異陽性細胞自身の変化にとどまらず、周囲の変異のない細胞に対して影響を及ぼし転化を誘導する機序を明らかにすることを目的とする。

略歴

2010年京都大学大学院医学研究科 博士後期課程修了。2010年-2018年 京都大学大学院医学研究科研究員。2018年より京都大学高等研究院特任助教となり、現在に至る。

論文

Molecular heterogeneity in peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified revealed by comprehensive genetic profiling. Watatani Y, Sato Y, Miyoshi H, Sakamoto K, Nishida K, Gion Y, Nagata Y, Shiraishi Y, Chiba K, Tanaka H, Zhao L, Ochi Y, Takeuchi Y, Takeda J, Ueno H, Kogure Y, Shiozawa Y, Kakiuchi N, Yoshizato T, Nakagawa MM, Nanya Y, Yoshida K, Makishima H, Sanada M, Sakata-Yanagimoto M, Chiba S, Matsuoka R, Noguchi M, Hiramoto N, Ishikawa T, Kitagawa J, Nakamura N, Tsurumi H, Miyazaki T, Kito Y, Miyano S, Shimoda K, Takeuchi K, Ohshima K, Yoshino T, Ogawa S, Kataoka K. Leukemia. 2019 Dec;33(12):2867-2883. doi: 10.1038/s41375-019-0473-1. Epub 2019 May 15

Significant association of RNF213 p.R4810K, a moyamoya susceptibility variant, with coronary artery disease. Morimoto T, Mineharu Y, Ono K, Nakatochi M, Ichihara S, Kabata R, Takagi Y, Cao Y, Zhao L, Kobayashi H, Harada KH, Takenaka K, Funaki T, Yokota M, Matsubara T, Yamamoto K, Izawa H, Kimura T, Miyamoto S, Koizumi A. PLoS One. 2017 Apr 17;12(4).

Sonic hedgehog is involved in formation of the ventral optic cup by limiting Bmp4 expression to the dorsal domain. Zhao L, Saitsu H, Sun X, Shiota K, Ishibashi M.Mech Dev. 2010 Jan-Feb;127(1-2):62-72.

研究グループ

小川グループ
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